一般社団法人
日本下水汚泥資源化協会
協会について
会長挨拶
会長 吉村 俊治
2023年10月6日下水汚泥資源化の普及および、資源の品質の向上、利用促進に寄与することを目的に一般社団法人 日本下水汚泥資源化協会が設立されました。
近年、下水汚泥資源化をめぐり様々動きがあります。
まず、2015年9月の国連サミットで2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGsが採択されました。
これにより、下水汚泥の資源化が推進されています。
日本では、2022年10 ⽉28 ⽇に閣議決定された総合経済対策において「下水汚泥資源等の肥料利用拡大への支援等による化学肥料の使用低減に取り組む。」と明記されました。
2023年3月17日に国土交通省下水道部から通知された発生汚泥等の処理に関する基本的考え方では、「下水道管理者は今後、発生汚泥等の処理を行うに当たっては、肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととする。」とされています。
こうした動きを受け、民間企業においても下水汚泥の農業利用を主体として資源化への取り組みを加速させる必要があります。
下水汚泥資源化への取り組みは、堆肥化やリン回収の技術的に対応していくことは必要ですが、製品を普及させていくための調査研究、広報、施肥効果の検証などを行っていくことが極めて重要です。
私の会社では、年間3,500tの堆肥を製造するだけでなく、国内約30haの農地で堆肥を使い40種以上の農産物を製造しております。
また、製造されたコメを利用して日本酒を製造し、農産物と日本酒を賞味できる居酒屋を経営しております。
こうした経験を踏まえ、設備等のハード面からのアプローチだけではなく、製品の広報・普及という面から下水汚泥の資源化を強力に推進していければと考えております。
日本下水汚泥資源化協会は、会員企業がもつノウハウの提供やDXの推進を通じ、地方自治体や農業従事者の方々が安心して下水汚泥資源を製造・利用できるシステムを構築できるように貢献してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
設立の目的
国連は、人類の幸福と地球環境保全を目的とした持続可能な開発目標「Sustainable Development Goals SDGs」を定め、また気候変動温暖化対策として2050年にはカーボンニュートラル実現を呼び掛けています。
日本では、2022年10月28日に閣議決定された総合経済対策において「下水汚泥資源の肥料利用拡大への支援等による化学肥料の使用低減に取り組む。」と明記されました。
国土交通省では、温暖化ガス削減のためメタンガス発電や堆肥利用(BISTRO下水道)等を進めています。また、農水省は「みどりの食料システム戦略」で、温室効果ガス排出削減と農業地域の生物多様性保全を目指しています。
下水汚泥は焼却・乾燥・炭化・肥料化などの処理方法が用いられていますが、今後農業への利用を主とした処理処分方式の技術開発・普及拡大方策が求められます。
近年では、ウクライナ侵略の影響でロシアが輸出するリン鉱石の国際価格が上昇し連動して、リンや窒素を含む化学肥料が高騰したことから、身近で安価な肥料がより求められるようになりました。
このような社会情勢の中、2023年3月17日には国土交通省下水道部長より、発生汚泥等の処理に関する考え方として肥料化を最優先とする通知がなされました。
下水汚泥・家畜糞尿・食品廃棄物・剪定枝・生ごみの資源化は、異なった処理技術と品質管理が必要です。肥料化にあたっては、窒素・リン酸・カリの三栄養成分の量と比率を調整することの処理技術開発や製品の品質管理及び向上が求められています。
また、肥料化によって農業を普及させ、化学肥料を削減していくことも重要です。
汚泥焼却灰にはリンが豊富に含まれていることから、効率的・経済的な農業利用方策についても推進する必要があります。
このような経緯のもと、当協会は下水汚泥の資源化を行うための技術開発、普及や堆肥の品質管理と向上に取り組んで参ります。